無力感


5ヶ月前、我が家の近所に、ジョンという子犬がやって来ました。

その飼い主Nさんは、定年後は生まれ育った故郷の田舎で・・・と

数年前に家を建て東京暮らしを引き払い我が家の近所に越してきたのです。

奥さんを早くに亡くした彼は、精神に障害のある娘さんとふたり暮らし。

(娘といっても40過ぎ、亭主のリストラ、離婚など多難な生活が精神を蝕んだらしい)

そこに、ジョンがやってきまた。

ジョンは雑種の生後1ヶ月ほどのただの子犬。

しかし期待された役目を健気にこなしていた。

引きこもりがちな娘さんの散歩の相手。

怖いといってその家へ近づかなかった近所の子供達もジョンを目当てに集まります。

「ジョンいる?」「じょんとあそんでいい?」子供達と娘さんの会話も始まりました。

我が家の娘もジョンが大好きです。

すべてNさんのおもわくどおり

しかし、ジョンの体が成長するにつれて子供達の関心はうすれていきます。

世話をする娘さんも、ジョンをもてあますようになっていました。

いつ見ても、テラスにつながれっぱなし・・・。

昨日、

家に帰ったら、我が家の奥さんがショックな話があるという

どうした?と聞くと

「ジョンがいなくなった」という

脱走したん?

「娘が世話しなくなった、もう飼えないから」

とNさんが保健所に連れって行ったらしい・・・と。 絶句!

ペット雑誌の編集、TV番組・・・Tails By Side

なにをやって来たんだろう・・・

半径200mの犬すら救えないなんて

外国商船の船乗りであったNさんは、博学で常識人な老紳士

はかりしれない道の遠さを感じます。

                               K・A

<topへもどる>