| (財)福岡県動物管理センターでは、講義と施設見学の約2時間コースで、ペット専門学校生の研修を受け入れています。後日、提出してもらうレポートのほとんどは「できれば、行きたくなかった」で始まっています。伝聞や映像、書物などから得た予備知識が動物管理センターのイメージをつくりあげているようです。
動物が大好きで、将来動物関係の仕事につくことに夢や希望をふくらませている人たちにとって犬や猫を処分するセンターは最悪の場所、鬼門に違いありません。センターに勤務する職員に親しみの感情など持てるはずはないでしょう。
でも、レポートの終わりは、ほとんどの人が「行ってよかった」と結んでいます。「二度と行きたくない」と書いている人がいないわけではありませんが、それはほんのわずかです。動物管理センターがなぜ処分を行うのか、処分される動物がなぜ尽きることなく湧き出てくるのか、問題の根源や解決策がどこにあるかなどについて自分の目と耳で現実を確認し、考え、納得したためかもしれません。
「処分するところだからこそ究極の動物愛護が行える」「センターは最後の場所ではなく最初の場所だ」などの記述は動物管理センターのキャッチフレーズになりそうです。「センターで働きたい」「センターでボランティアをしたい」「これから、自分にできることをやって行きたい」などは頼もしく感じます。
もちろん、センターに対する否定的な記述もあります。動物への配慮は充分だと胸を張れる状況でないことは確かですし、処分以外の選択肢が与えられる動物はほんの僅かです。家に帰りたい、温かい胸の中に戻りたいと叫ぶ動物たちの声が聞こえないわけではありません。でも、それをかなえてやることができない自分の非力さが悲しくなります。中途放棄した飼い主にも叫び声が届いているでしょうか。必要ないとされる動物はいつになったらいなくなるのでしょう。暗いトンネルを行進しているような気持ちでレポートを読んでいると、次の一行が目に飛び込んできました。「つらいけど誰かがやらなくてはならない仕事。そんなつらい仕事をする職員の方々を尊敬する」それは宝石のようにまばゆい光りを放つ一行でした。(獣医師/Y)
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